ファイバコリメータ 60FC
コリメータ用レンズタイプ
S+Kのカップリングレンズは球面収差が補正されており、フォーカシングとコリメーションにおける回折限界を導きます。下記の通り、3種の異なる特徴を持ったレンズを選択可能です。
・Type A (アスフェリコン)
・Type M(レーザ マナクロウマトゥ,アクロマート)
・Type RGBV (アポクロマート)
アスフェリコン
非球面レンズは単一波長アプリケーション用に設計されており、球面収差が補正されます。
焦点位置は波長によって大きく変化するため、波長を変更した後は、
カプラ/コリメータを再フォーカス/コリメートする必要があります。
使用する非球面レンズはすべてガラス非球面レンズです。
このレンズタイプは、UHV(超高真空)アプリケーションにも適しています。
アスフェリコンレンズの長所と短所
非球面レンズの特性として、コリメートレンズとして使用した場合、
ビームプロファイルに微細構造(同心リング)またはそれ以上の悪化を示し、
ビームプロファイルはガウス分布ではなくなります。
非球面レンズは制限なしにカップリング/フォーカス光学系として使用できる反面、
コリメータとしてのレンズ性能は限られております。
上記のような現象が発生した場合、アクロマートなどの代替品を使用する必要があります。
マナクロウマトゥ、アクロマート
マナクロマトゥは単一波長のカップリング/コリメーティング用に設計されており、球面収差が補正されます。
M2<1.05の回折限界ビームの生成を可能にします。
焦点距離は波長によって大きく変化するため、波長を変更した後、
カプラ/コリメータを再フォーカス/コリメートする必要があります。
アクロマートは複数の波長のカップリング/コリメーティング用に設計されております。
色収差が補正されるため、特定の波長範囲での仕様においては焦点距離の変動は少なく、
カプラ/コリメータを再調整は不要です。
マナクロマトゥ、アクロマート共に綺麗なガウシアンビームプロファイルを生成します。
単一波長の場合「マナクロマトゥ」、複数波長の場合「アクロマート」
両レンズ共にUHV(超高真空)アプリケーションには不向きです。
アポクロマート
アポクロマートは400nm~660nmの波長域において、
色収差による焦点シフトを最小限に抑えることにより、多波長カップリング/コリメーティング用に最適化されています。
球面収差が補正され、M2<1.05の回折限界ビームの生成を可能にします。
色収差による焦点シフトを最小化することにより、多色のビームはファイバ端面で一点に集光されます。
UHV(超高真空)アプリケーションには不向きです。
カップリング軸に関する説明
S+Kで提供するカプラ/コリメータの標準仕様はpre-angled coupling axis(斜め結合軸)を持ったFC/APCコネクタ付です。
この仕様は同社の長年のノウハウを基に標準化されており、
結合比の低下やコリメート光のプロファイルへの悪影響を最低限に抑えます。
ファイバカプラ with pre-angled coupling axis(斜め結合軸)
FC/APC(8°研磨)コネクタ付斜め結合軸を用いた場合、レーザシステムへの後方反射の入り込みを抑えることができます。後方反射によるスペクトルへの影響を除去できるため、同軸で0℃研磨のコネクタを用いた入射と比較し、高い結合効率を得ることができます。
ファイバカプラ with coaxial coupling axis(同軸)
FC/PC(0°研磨)付 同軸結合軸を用いた場合、約8%の後方反射が発生し、
スペクトルへのノイズ影響が出ます。
Pre-angled coupling axis(斜め結合軸)を用いビームプロファイルへの影響を除去
S+KのAPCコネクタはビームのたわみを補正するよう結合軸が設計されており、
入射ビームはレンズの中心を通ります。
これにより、ビーム経路に起因する収差が最小限に抑えられます。
ファイバカプラ with pre-angled coupling axis(斜め結合軸)
ビームのたわみを補正するよう結合軸が設計されており、
入射ビームはレンズの中心を通ります。
これにより、ビーム経路に起因する収差が最小限に抑えられます。
コリメータされたビームはレンズの中心にあり、ガウス分布かつシンメトリーです。
ファイバカプラ with coaxial coupling axis(同軸)
コリメータされたビームはレンズの中心にあり、ガウス分布かつシンメトリーです。
FC/PCとFC/APC用コンポーネントがミックスされた場合
同軸結合用コリメータに8°研磨ファイバの取付、またはその逆のセットアップで使用した場合も
ビーム軸方向が変位します。非対称となり、ガウスプロファイルを大きくかけ離れます。
FC/APCコネクタとFC/PC用コリメータを接続した場合
FC/PCコネクタとFC/APC用コリメータを接続した場合
*両セットアップ共にプロファイルの乱れが発生
留めネジ機構付レセプタクルについて
ファイバのコネクタフェルールが配置されるファイバカプラのファイバレセプタクルのボアホール径は、
フェルール挿入時に圧力がかからぬよう、フェルール径に対して数μm程度余裕を持って設計されます。
フェルールをカプラユニットに挿入した後、カプラユニットを指で回すことができない程度にタイトになるよう、
コネクタ上の留めネジをゆっくりと丁寧に回していきます。
留めネジ機構がないカプラユニットの場合、キー溝に合わせてコネクタを固定しても、
ボアホール内のフェルールが横方向に移動する可能性があります。
これにより、ファイバ放射点が横方向に動き、
カプラユニットから照射されるビームにポインティングエラーをもたらします。
留めネジ機構によりコネクタ固定後のフェルールとボアホール間の遊びがミニマムになり、
ポインティングエラーの可能性を最も抑えることができます。
*注意
偏波保持ファイバを使用する場合、特に留めネジの締めすぎには注意して下さい。
Finger tight(フィンガータイト)程度であることが重要です。
締め過ぎると偏波面の保持に影響を及ぼす恐れがあります。
この留めネジ機構はS+Kの全てのFCコネクタ式ファイバカプラ/コリメータに標準搭載されています。(AVIOも含む)
シングルモードおよび偏波保持ファイバへの入射(カップリング)について
ファイバへの入射については、60SMS レーザビームカプラ、60FC コリメータ、どちらも用いることができます。
ファイバへの入射にコリメータを選択した場合、
リバースモード(逆入力)で使用し、角度調整機構のついたミラーマウント等に設置します。
この角度調整により、最も高効率な入射角度に調整することができます。
ファイバへの円形ビーム入射のための焦点距離の選択
FC/APCコネクタ付シングルモードファイバへの入射
集光された円形ビームの収束がファイバの有効NAe2に等しく、かつ、理想的なガウスビーム(M2 = 1 )を入射した場合、最大の結合効率が達成されます。
そのような状態においては、ファイバ端面でのスポット径はシングルモードファイバのモードフィールド径(MFD)に等しくなり、
入出力時のフレネル反射による8%の損失を除いて、理想的なガウスビームを伝搬することができます。
ファイバの有効NAe2に指定がある場合、
レーザビームカプラの最適な焦点距離はビーム径をØbeam (1/e2)として定義し、次の式で定義されます。
ファイバの有効NAe2が不明の場合、最適な焦点距離f ’はNA(nominal)から次のように計算できます。
NA値(nominal)は、1%〜5%レベルのガウス角分布に対応し、係数FNAがNAのさまざまな定義を補正する必要があります。
ファクター FNA
ファクターFNAはnominal %レベルに依存します。
例:
ビーム径: Øbeam =1.0mm
ファイバ有効NA:NAe2 = 0.08
焦点距離:f’ =0.5・1.0mm/0.08=6.25mm
上記の計算からf’=6.2mmであるA6.2Sレンズを選定
楕円ビーム生成のための焦点距離調整方法
楕円ビームの最適な結合焦点距離を見つけるには、
コリメータされた楕円レーザビームの小径と大径 (Ø|| , Ø⊥) から計算された有効ビーム径Øeff を使用します。
焦点距離の選定について
有効ビーム径が決定すると、最適な焦点距離も決定させることができます。
これは計算式中のØbeam をØeff に置き換え算出します。
結合効率を上げるには、、
アナモルフィックビーム生成オプティクスを用い楕円ビームを円形ビームに変換することにより、
結合効率を高めることができます。
結合効率
M2 < 1.05で真円かつ非点収差のない高品質なビームを入射した場合、
>80%の結合効率が達成されます。
結合効率の低下(ロスの発生)は主に以下の要因のため発生します。
・レーザビームカプラ内の透過損失 ~1%
・イメージング収差、漂遊損失、ビーム歪み(M2 > 1) ~8%
・ファイバ端面でのフレネル反射 ~8%
シングルモードファイバ〜のコリメート光ビーム径
ビーム径
FC/APCコネクタ付シングルモードファイバからのコリメート光
コリメート光は焦点距離f’とシングルモードファイバの開口数(NA)の関数です。
NAe2が指定されている場合、焦点距離f’におけるビーム径Øbeam (defined at its 1/e2-level) は
次の計算式のように定義されます。
有効開口数(NAe2)が不明な場合は、開口数(NA)のnominal値と焦点距離f’から、
ビーム径Øbeam (defined at its 1/e2-level)は次の計算式のように定義されます。
NA値(nominal)は、1%〜5%レベルのガウス角分布に対応し、
係数FNAがNAのさまざまな定義を補正する必要があります。
ファクター FNA
ファクターFNAはnominal %レベルに依存します。
ビーム径: Øbeam =12mm
ファイバ有効NA:NAe2 = 0.08
焦点距離:f’ =2・12mm/0.082=1.92mm
シングルモードファイバからのビーム発散角
FC/APCコネクタ付シングルモードファイバからのコリメート光
原理的に、コリメート光はゼロより大きい発散角を持ち、ビーム径はファイバコリメータからの距離Aと共に変化します。
ビームの発散角θは上図Aの距離が長い場合、ファイバコリメータの位置でのビーム径と波長λに依存します。
例:
波長λ = 660nm
焦点距離 f’ = 12mm
開口数 NAe2 = 0.08
ビーム径Øbeam = 1.92mm
ビーム発散角θ = 0.22mrad
パイロットビーム
パイロットビームは特定の動作範囲Aを渡って生成された、
本質的に一定の直径のガウスビームであり、微調整を行った上で達成できます。
パイロットビームの動作範囲とビームウエストの決定
FC/APCコネクタ付シングルモードファイバからのパイロットビーム
パイロットビームの最大動作範囲Aは回折のため制限されます。
Øbeamはコリメート光の直径です。ビームウエストの位置はA2で定義されます。
フォーカススポットの生成
マイクロフォーカスオプティクスが必要な場面とは?
スポット径が、ファイバMFDの10倍以下である場合、コリメーション光学系の焦点を再調整するだけでは、高品質のスポットを実現できません。
そのような場合、コリメーションとマイクロフォーカス光学系を組み合わせて使う必要があります。
なお、シングルモードファイバの場合、ガウシアン強度分布とビーム形状はどのような場合でも保持されます。
ファイバコリメータ調整によるスポット生成
FC/APCコネクタ付シングルモードファイバからのコリメート光を再フォーカス
コリメートレンズの調整によるフォーカスビームの生成。距離Aはファイバコリメータに起因し、
Øspot のビームウエストが形成されます。
ファイバのMFDは有効開口数NAe2と使用波長λから定義されます。
回折は焦点の最大距離(A)を制限します。
用語説明
Øbeam :コリメート光 ビーム径
Øspot:フォーカス スポット径
A:ワーキングディスタンス
f’:コリメートレンズの焦点距離
MFD:シングルモードファイバのMFD
マイクロファーカスオプティクスによるフォーカススポットの生成
分離式マイクロファーカスオプティクスが必要な場面とは?
スポット径が、ファイバMFDの10倍以下である場合、高品質のスポットはリフォーカスコリメーションオプティクスのみでは達成できません。
そのような場合は、コリメーションとフォーカシングユニットの組み合わせが必要になります。
スポット径とレイリー範囲はファイバコリメータやマイクロファーカスオプティクスのファイバの特性と焦点距離に紐づき決定されます。
シングルモードファイバの場合、ガウス強度分布とビーム形状が維持されます。
ファイバコリメータとマイクロファーカスオプティクスを用いたスポット生成
FC/APCコネクタ付シングルモードファイバからのコリメート光をマイクロファーカスオプティクスを用いて集光
スポット径Øspotは次のように定義されます。
MFDはシングルモードファイバのモードフィールド径。
MFDは波長により異なります。
例
ファイバコリメータf’ = 4.5mm
マイクロフォーカスレンズ
f’ = 11.0mm
モードフィールド径φ MFD =4.3μm
スポット径Øspot:10.5μm
理論的にはファイバのMFDより小さなスポット径を生成することは可能です。
そのような場合、光学固有の収差、ファイバNA、波長などを考慮した光学シュミレーションが必要です。
そのようなご相談がございましたら、S+Kにご相談下さい。
レイリーレンジ
フォーカスビームの焦点
ガウシアンビームの場合、焦点深度はレイリー範囲2・zRで定義され、
ビームウエストØSpotは、直径1.41倍を超えて増加しません。
λ=波長 (μm) / ØSpot =ビームウエスト径 (μm)
例
スポット径(ØSpot)=7.1μm
波長:λ=780nm
レイリー範囲:2zR=20.3μm
マルチモードファイバへのカップリング
ファイバへの入射(カップリング)については、60FC-A19.5ファイバカプラと60FCのコリメータが使用可能です。
コリメータを選択した場合、ミラーマウントや角度調整が可能なその他のメカニカルパーツにマウントし、
リバースモードを用いてファイバカプラのように使用します。
この使用法により、高い結合効率を実現します。
真円ビーム生成のための焦点距離調整
マルチモードファイバ使用時、入射(カップリング)焦点距離は
ビーム径とファイバNA(nominal値)から以下のように計算されます。
焦点距離が長すぎる場合、モード混合が不十分になり、不要なビーム特性が発生します。
焦点距離が短すぎる場合、結合効率が低下します。
マルチモードファイバ出力光のコリメート化
マルチモードファイバ出力のコリメートビーム径
ビーム径Øbeam はコリメートレンズの焦点距離f’とマルチモードファイバのNAを基に次のように定義されます。
マルチモードファイバコリメート光のビーム広がり角
ファイバコア径は有限であるため、ビームは常に発散します。
発散角は次のように定義されます。
マルチモードファイバコリメータのリフォーカスによるスポット生成
マルチモードファイバコリメータから出力、
リフォーカスされたビームのスポット径は以下のように定義されます。
Øspot:フォーカスされたビーム径
Øbeam:マルチモードファイバからのコリメート光ビーム径
A:動作距離(Working distance)
f’:コリメートレンズの焦点距離 (focal length)
◀︎表は横にスクロールして見ることができます▶︎